非常用発電設備の健康管理
いざというとき発電設備がきちんと機能するためには、定期的な点検・整備が大切です。設置場所の気温、湿度、ほこりなど周囲の環境や運転時間、始動・停止回数、経年などによって徐々に劣化し、当初備わっていた安全性や機能に影響を及ぼす場合があります。感電災害や、漏電、油漏れなど思わぬ災害に発展するケースもあります。安全な使用のためにも、定期的な点検・整備をユーザーの責務として行ってください。
保安に関する法令の基準
設備の機能を維持するために、電気事業法や消防法、建築基準法などの法令によって、維持管理の基準が定められています。機能の維持と安全確保を目的にした規制で、安全に利用するための必要最低限の基準が示されています。
発電設備
対象物 | 点検内容 | 点検 | |||
---|---|---|---|---|---|
期間 | 報告 | 基準 | |||
電気事業法 | 電気工作物すべて | 日常巡視 日常点検 定期点検 精密点検 |
保安規定による | - | 保安規定 |
消防法 | 特定防火対象物で延べ面積1000m2以上のもの | 機器点検 総合点検 |
6カ月(機器点検) 1年(総合点検) |
消防機関1年1回(特定防火対象物) | 点検基準(告知) 点検要領(通知) |
特定防火対象物で延べ面積1000m2以上の消防長または消防署長が指定するもの | |||||
上記以外の防火対象物 | 消防機関1年1回(上記以外の防火対象物) | ||||
建設基準法 | 特定行政庁が指定するもの | 外観点検、機能点検など | 特定行政庁が定める期間 (概ね6カ月から1年に1回) |
特定行政庁(概ね6カ月から1年に1回) | 建築設備定期検査業務基準指導書 (建築指導課監修) |
蓄電池設備
対象物 | 点検内容 | 点検 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
監督 | 点検者 | 期間 | 報告 | 基準 | |||
電気事業法 | すべて | 日常巡視 日常点検 定期点検 精密点検 |
選任された電気主任技術者 | 関係者 | 保安規定による | - | 保安規定 |
消防法 | 特定防火対象物で述べ面積1000m2以上のもの | 機器点検 総合点検 |
消防設備点検資格者 蓄電池設備整備資格者 |
6カ月(機器点検) 1年(総合点検) |
1年に1回(特定防火対象物) | 点検基準(告示) 点検要領(通達) |
|
防火対象物で消防長又は消防署長が指定するもの | 3年に1回(防火対象物) | ||||||
上記以外の防火対象物 | |||||||
建設基準法 | 特定行政庁が指定するもの | 外観点検、機能点検など | 建築士又は 建築設備検査資格者 |
特定行政庁が定める期間 (概ね6カ月から1年に1回) |
特定行政庁が定める期間 (概ね6カ月から1年に1回) |
建築設備定期検査業務基準指導書 (建築指導課監修) |
蓄電池設備の寿命
老朽化した蓄電池設備はいざというとき正常に作動しない場合があります。長期的な信頼を確保するためには、一定期間内での点検や部品交換を必要とします。設備更新のメリットは信頼性の向上だけでなく、ランニングコストの低減にもなります。
充電装置・逆変換装置
耐久年数:15~20年 ※製造業者の取扱説明書より
蓄電池
種類 | 期待寿命(25℃) | |
---|---|---|
据置鉛蓄電池 | CS形 | 10~14年 |
HS形 | 5~7年 | |
HSE形 | 5~7年※ | |
MSE形 | 7~9年※ | |
小形制御弁式鉛蓄電池 | 各製造業者による | |
据置アルカリ蓄電池 | 12~15年 |
※0.10.16C10A放電負荷の場合(C10:10時間率定格容量(Ah)の数値)
制御弁式据置鉛蓄電池を期待寿命までお使いいただくための注意事項
蓄電池の寿命は温度および充電電圧によって大きな影響を受けます。夏でも周囲温度が25℃くらいの場所に設置してください。一般的に周囲温度が高いと充電電流が大きくなり発熱量が多くなります。制御弁式はベント形に比べコンパクト(小形・軽量)なため、電解液量が少なく熱容量が小さいため、周囲温度の影響を受けやすい。
温度が高くなると寿命に影響する理由
- ・充電電流が大きくなり過充電になる。
- ・化学反応の促進と過充電により格子の腐食が促進される。
- ・過充電により電解液中の水の電気分解が促進され、電池内部で吸収しきれないガスが外部に放出されるため、必要な電解液量が確保できなくなることが稀にある。