非常用発電機 擬似負荷試験のご案内
負荷試験とは?
非常用発電機の負荷試験とは、非常用発電機のエンジンおよび発電装置の両者が、継続して確実に稼働するかを確認する為に実施する試験です。非常用発電機は、エンジン部分とエンジンによる回転運動から電気を生み出す発電装置部分に分けられます。
エンジン
非常用発電機のエンジンは一定の回転数を維持するよう設定されていますが、発電装置で発電(送電)することによってエンジンへの負荷も上昇します。無負荷での運転では、有負荷で正常に稼働するかどうかの確認はできません。また、負荷をかけることによってエンジン内部温度、排気温度が上昇し、エンジン内部や煙道の未燃焼物が除去される効果もあります。エンジン内部や煙道に未燃焼物が溜まると着火して火災の恐れもあります。
発電装置
エンジンを始動させるだけの無負荷運転の場合、エンジンの馬力が上がらないこともさることながら、発電装置部分は何も仕事をしておらずその性能を確認することはできません。そこで実際に発電装置に発電(送電)させて全体の状態を確認するのが負荷試験です。
消防法で定める点検内容
消防法の中の非常電源の点検基準、点検要領にて定められる非常用発電機の点検には、6カ月毎に実施する機器点検と、1年毎に実施する総合点検があります。この中で負荷運転または内部観察等は総合点検にて毎年実施※3することが義務付けられています。これは法令により設置された非常用発電機に対して例外なく適用されます。
機器点検 | 総合点検 | |
---|---|---|
主な内容 | 設備、機器の外観、機能の点検(主に目視点検)、始動点検、無負荷運転(5~10分) | 擬似負荷装置、実負荷により30%以上の負荷で必要な時間運転※1を行う。又は内部観察等※2を行う) |
周期 | 6カ月毎 | 1年毎※3 |
消防への報告 | 特定防火対象物…1年毎 | 非特定防火対象物…3年毎 |
内部観察とは
①過給器コンプレッサ翼及びタービン翼並びに排気管等の内部観察
過給機のサイレンサー及び過給機ダクトを取り外し、コンプレッサ及びタービン翼の内部を確認します。
check point!
コンプレッサ翼及びタービン翼に運転に支障を及ぼすじんあいや燃焼残さ物等の付着していないこと、損傷や欠損がないことを確認します。
※異常がある場合には清掃等により除去。
過給機を取り外した部分から排気管内部を確認します。
(過給機がない場合は、排気管出口の可とう菅継手等を取り外して内部を確認。)
check point!
排気管や排気ダクト内部に運転に支障を及ぼす未燃燃料や燃焼残さ物が付着していないことを確認します。
※異常がある場合には清掃等により除去。
②燃料噴射弁等の確認
燃料噴射弁を取り外し、作業させて、噴射状態と噴射圧力を確認します。
check point!
燃料噴射弁の試験器を使用して、
①燃料噴射弁の開弁圧力が製造者の指定範囲であること。
②噴射口に詰まりがなく、燃料の噴霧状態が均一で微細に霧化されていること
③燃料噴射弁先端から燃料の液だれがないこと
を確認します。
異常がある場合は、燃料噴射弁の開弁圧力の調整、清掃等を行う。
③シリンダ摺動面の内部観察
シリンダヘッドを取り外し、シリンダ摺動面等の内部を確認します。
または、燃料噴射弁を取り外し、取付穴から内視鏡を挿入し内部を確認します。
check point!
シリンダライナ摺動面に運転に支障を及ぼす損傷や摩耗がないことを確認します。
④潤滑油の成分分析
オイルパン等から潤滑油を必要量抜き取り、潤滑油の成分を確認します。
check point!
「動粘度」、「燃料希釈分」、「塩基価」、「金属成分」、「水分」等が、製造者の指定値範囲内であることを確認します。
※写真は交換時のイメージであり、潤滑油及び冷却水を分析する際は少量で可能。
※成分分析の結果、指定地範囲外の項目がある場合には、以上がある部位に清掃、修理、交換等の必要な措置を講じます。
⑤冷却水の成分分析
ドレインコック等から冷却水を必要量抜き取り、冷却水の成分を確認します。
check point!
「PH」、「全硬度」、「電気伝導率」、「蒸留残留物」等が製造者の指定地範囲内であることを確認します。
※写真は交換時のイメージであり、潤滑油及び冷却水を分析する際は少量で可能。
※成分分析の結果、指定地範囲外の項目がある場合には、以上がある部位に清掃、修理、交換等の必要な措置を講じます。